■ 個人住民税からもローン減税される制度が創設される
2009年度の税制改正(大綱)で特筆すべきもう1つの点が、個人住民税からも
ローン減税されるようになることです。
今回、“初”の試みで、当該年分の所得税を控除しても、なお控除しきれない残額が
ある場合、その控除しきれない額を翌年度分以降の住民税から別途、控除
(ただし、9万7500円を上限)できるようにします。
「住民税からも住宅ローン控除(?)」―― 税制改正に詳しい方は、聞き覚えの
あるフレーズだったかもしれません。
というのも、三位一体改革による国から地方への税源移譲により、1999年から
2006年末までに住宅を購入・入居した人で、本来受けられるべき住宅ローン
減税額が減少する人は、税源移譲により減少する住宅ローン減税相当額を
住民税から控除する措置が創設されたからです。
税源移譲(=所得税と住民税の税率変更)により所得税額が減少することに
よって、住宅ローン減税の還付額も減少する人を救済しようとしたのでした。
しかし、この制度はすでに役目を終えており、また、本来の目的も異なります。
2009年度の税制改正が「減税額の拡充」なのに対し、税源移譲による措置は、
「減額分を補てんする」ことに重点が置かれています。
どちらも「住民税からもローン減税される」ことには変わりありませんが、
その主旨には違いがあることを混同しないようにしないといけないでしょう。
なお、所得税還付の場合とは異なり、新税制(09年度)による個人住民税の
還付請求には、毎年、確定申告が必要になる予定です。
面倒ではありますが、忘れずに申告するようにしましょう。
■ 一体いくら、ローン減税されるの?
一通り、住宅ローン減税の改正内容(大綱)について言及してきましたが、
最後に誰もが気になるのが、一体いくら、ローン減税されるのかでしょう。
(社)住宅生産団体連合会では、次のような試算をしています。
夫婦と子供2人(子供1人は特定扶養親族)の家族が、
3000万円(表1)あるいは5000万円(表2)を返済期間30年、金利3%
の元利均等返済で借り入れし、マイホームを取得後、2009年中に入居。
ローン金利も年収も10年間変動しないと仮定してシミュレーションした
10年間の減税額合計が下表です。
給与収入 |
住 宅 |
所 得 税 |
住 民 税 |
合 計 |
500万円 |
一般 |
59万5000円 |
59万5000円 |
119万円 |
長期優良 |
同上 |
同上 |
同上 |
|
600万円 |
一般 |
94万5000円 |
94万5000円 |
189万円 |
長期優良 |
同上 |
同上 |
同上 |
|
700万円 |
一般 |
165万5000円 |
88万円 |
253万5000円 |
長期優良 |
同上 |
97万5000円 |
263万円 |
(表1)3000万円を金利3%、30年返済で借入れした場合(09年入居)
給与収入 |
住 宅 |
所 得 税 |
住 民 税 |
合 計 |
800万円 |
一般 |
258万5000円 |
97万5000円 |
356万円 |
長期優良 |
同上 |
同上 |
同上 |
|
900万円 |
一般 |
411万円 |
24万5000円 |
436万5000円 |
長期優良 |
418万5000円 |
88万5000円 |
477万円 |
|
1000万円 |
一般 |
437万円 |
0円 |
437万円 |
長期優良 |
524万円 |
0円 |
524万円 |
(表2)5000万円を金利3%、30年返済で借入れした場合(09年入居)
家族構成や入居年によっても減税額は異なるため、
あくまで1つの目安ではありますが、少なくても119万円、
年収1000万万円クラスになると500万円前後の税金が10年間で
還付されることになり、改めて、住宅ローン減税の魅力を再確認させられます。
給与収入が増えるほど、源泉徴収される所得税も同時に増えるため、
控除される住民税額は給与収入が700~800万円をピークに、
高額所得者ほど逆に減少しているのは興味深い傾向です。
今回の税制改正により、はたして住宅市場の「V字回復」はあるのか?
…… 今後の動向から目が離せません。
岡山市での不動産投資なら「藤丸財産コンサル」へ。不動産,土地,売買,賃貸の物件情報満載。不動産に関することでお困りの際は、岡山市東区西大寺の事務所までお気軽におこし下さい。